紅茶の等級と茶葉の製法

紅茶のパッケージを見ると、

  • 「FTGFOP1」「BOP」といったアルファベットの列
  • 「リーフ」「CTC」といった製法・形状の表記

が書かれていることがあります。

一見むずかしそうですが、

  • 等級(グレード)=茶葉の大きさ・形・芽の量の分類
  • 茶葉の製法=どう加工されたか(オーソドックス製法/ローターバン製法/CTC製法など)

と分けて考えると、一気にわかりやすくなります。

この記事では、

  • 紅茶の等級(グレード)の意味
  • 主な等級の種類と特徴(ホールリーフ〜ダストまでまとめて)
  • 茶葉の製法(オーソドックス製法/ローターバン製法/CTC製法)の違い
  • 「ストレート用」「ミルクティー用」など、用途に合わせた選び方のコツ

を解説します。


「等級(グレード)」とは?意味と基本の考え方

最初に押さえておきたいポイントはここです。

等級は「茶葉の大きさや形、芽の含まれ方」を分類したもので、
「等級が高い=絶対に味も上」ではない

等級でわかるのは主にこのあたりです。

  • 茶葉が大きいか、小さいか
  • 芽(チップ)がどれくらい含まれているか
  • 茶葉の形がそのままか、細かく仕上げられているか

一方、実際の味や香りには

  • 産地(アッサム、セイロン、ケニア など)
  • 茶園・ブランド
  • 発酵(酸化)の度合い
  • ブレンド内容

なども大きく関わります。
そのため、等級は「どんな形とサイズの茶葉なのか」を知るための情報として使うのがちょうど良いです。


紅茶の等級一覧(ホールリーフ〜ブロークン・ダストまで)

ホールリーフ(大きな葉)も、ブロークン(細かい葉)も、
実務上は同じ「等級システム」の中に並んでいます。

なので、まとめて一覧で見てしまったほうがスッキリします。

よく出てくる等級記号と意味

記号読み方主な特徴のイメージ
OPOrange Pekoe茶葉本来のサイズ。細長い形の標準的なホールリーフ。
FOPFlowery OP芽(チップ)を含む、やや上質なホールリーフ。
GFOPGolden FOP金色の新芽が多く、よりリッチなホールリーフ。
TGFOPTippy Golden FOP芽(チップ)の割合がさらに多い上級グレード。ダージリンやアッサムで多用。
FTGFOPFinest Tippy Golden FOP非常に高品質なホールリーフ。チップが豊富。
BOPBroken OP中〜細かいサイズのブロークン(細かく裁断した)グレード。色と味が出やすく、ミルクにも向く。
FBOPFlowery BOPBOPに芽を含むグレード。より香り高い。
FanningsファニングスBOPよりさらに細かい粒。短時間で濃く出るため、ティーバッグ用途が多い。
Dustダスト最も粒が細かいグループ。すぐに濃い液色と力強い味を出せる。

※CTCは後述

ポイント

  • 上の方(OP〜FTGFOP)がホールリーフ
  • 中段(BOP〜FBOP)が細かく裁断されたリーフ
  • 下段(Fannings/Dust)が粒状のグレード

という「サイズの流れ」だと思えばOKです。

「小さい=質が悪い」ではない

ファニングスやダストは「葉のサイズとしては細かい側のグレード」ですが、
それだけで品質の良し悪しが決まるわけではありません

小さいほど

  • 抽出が早い
  • 短時間で濃く出る

という長所があります。

大事なのは「サイズ」だけではなく、

  • どんな産地・茶園の葉か
  • どうブレンドされているか
  • 管理(鮮度・保管)がどうか

といった要素です。


末尾の「1」や「2」は何を意味するのか?

TGFOP、TGFOP1、FTGFOP、FTGFOP1…と、
同じような記号に「1」が付いたり付かなかったりすることがあります。

「1」が付くとどう違うの?

多くの産地・ブランドでは、

記号の末尾に付く「1」は、
「そのグレードの中で、より厳選された上位ロット」
を表す、という運用がされています。

例:

  • TGFOP
    • Tippy Golden FOP
    • 芽の多い高グレードのホールリーフ
  • TGFOP1
    • 上と同じTGFOPの中から、
      「より揃った見た目」「芽の割合が多い」などの基準で一段上として選別したロット

というイメージです。

「1」「2」ある場合はどっちがいいの?

まれに、

  • SFTGFOP
  • SFTGFOP1
  • SFTGFOP2

のように、「2」まで付いているケースもあります。

この場合は、同じブランド・同じ農園・同じ等級記号の中での
Aランク(SFTGFOP1) > Bランク(SFTGFOP2)となります。


茶葉の製法とは?オーソドックス製法/ローターバン製法/CTC製法

次に、「製法の違い」について見ていきます。

細かく分類するといろいろありますが、
消費者がラベルで判別しやすいのは、ざっくりこの2つです。

  • オーソドックス製法
  • ローターバン製法
  • CTC製法

これは「どう加工して茶葉の形を作るか」の違いです。


オーソドックス製法

いわゆる「茶葉の形が葉っぱらしく残っているタイプ」です。
伝統的な作り方(オーソドックス製法)で、

  1. 萎凋(いちょう):葉をしおれさせて水分を飛ばす
  2. 揉捻(じゅうねん):揉んで細胞を壊し、酸化発酵を進める
  3. 発酵(酸化):香りや色、風味が変化していく
  4. 乾燥:焙煎して水分を飛ばし、保存に適した状態にする

という流れで作られます。

オーソドックス製法の中にサイズ別の等級がある

オーソドックス製法で作られた茶葉は、仕上げでふるいにかけてサイズごとに選別されます。

  • 大きく形が残った葉
    → OP / FOP / TGFOP / FTGFOP などの ホールリーフ等級
  • 中くらいのサイズに仕上げた葉
    → BOP / FBOP などの ブロークン等級
  • ふるいを通り抜ける細かな粒
    → Fannings / Dust などの 細粒グレード

つまり、

  • 製法の軸:オーソドックス製法か、CTC製法か
  • サイズ・形の軸:ホールリーフ/ブロークン/ファニングス/ダスト

という2本立てで分類されていると思っておけばOKです。


ローターバン製法

オーソドックス製法で、揉捻工程の後にローターバン機のという機械に通して細かく裁断したものです。

BOPなどが代表的になります。


CTC製法の茶葉

CTCは、

Crush(砕く)・Tear(裂く)・Curl(丸める)

の頭文字をとった製法です。

専用の機械に茶葉を通しながら、

  • 砕き
  • 裂き
  • 小さな粒状に丸める

ことで、表面積を大きくし、短時間で一気に濃く出る茶葉に仕上げます。

見た目は「小さな丸い粒」「細かなつぶつぶ」という印象で、

  • ティーバッグ商品
  • ミルクティー用ブレンド
  • チャイ用の茶葉

などに広く使われています。

CTCとブロークンの違い(ざっくり)

  • ブロークン(BOPなど)
    • ローターバン機で細かく茶葉をサイズ分けした「細かめのリーフ」
    • ちぎれた葉・欠片に近い見た目
  • CTC
    • はじめから「砕く・裂く・丸める」を機械で行い、粒状に揃えた茶葉
    • 小さな丸い粒の見た目

パッケージに「CTC」と書いていなければ、
砕いてある茶葉は多くの場合ローターバン製法のブロークンタイプと考えて問題ありません。


製法 × 等級のざっくり対応表

ここまでの内容を、簡単な表でまとめます。

製法等級の例ざっくりしたイメージ
オーソドックス製法OP / FOP / TGFOP / FTGFOP など大きい葉(ホールリーフ)。ストレートで香り重視
ローターバン製法BOP / FBOP など中〜細かい葉(ブロークン)。濃く出てミルクティーにも使いやすい
ローターバン製法Fannings / Dust などさらに細かな粒。短時間でしっかり濃く出る。ティーバッグやチャイ向き
CTC製法「CTC」と表示されることが多い粒状の茶葉。短時間で濃く出る、ミルクティーやチャイ用に便利

サイズが小さいほど「粗悪」というわけではなく

  • 抽出スピード
  • 向いている飲み方(ストレート/ミルク/チャイなど)

が違う、と考えるのがポイントです。


初心者向け|紅茶を選ぶときのチェックポイント

最後に、実際に紅茶を買うときのチェックの仕方をまとめます。

まずは「どう飲みたいか」を決める

  • 香りをメインに、ストレートで楽しみたい
  • ミルクをしっかり入れてコクのある紅茶にしたい
  • 朝や仕事中に、さっと淹れて飲みたい

など、先に用途を決めると迷いにくくなります。

ラベルで「製法」と「等級」「1の有無」をチェック

  • ストレートメイン
    オーソドックス製法+ローターバン製法(BOP、FBOP)
  • ミルクティー・チャイが多い
    CTCローターバン製法(BOP、FBOP、ファニングス、ダスト)
  • 同じシリーズで
    • TGFOP と TGFOP1 で迷う
      → 基本は 1付き=より厳選ロット なので、まず1付きから試す価値はあり

気に入ったら「産地・ブランド」にも注目

等級と製法に慣れてきたら、

  • どこの産地の紅茶なのか
  • 単一茶園なのか、複数をブレンドしているのか

にも目を向けてみると、味の違いがさらに楽しくなります。

更新履歴

  • 2025/12/03 初回公開

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